日本において建築物を加害するシロアリは主にヤマトシロアリとイエシロアリですが、近年「乾材シロアリ」の仲間であるアメリカカンザイシロアリの被害も増えてきています。ここでは家屋害虫として主要な3種類をご紹介します。
ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土に分布しており、常に湿った木材や土の中で生活しており、適当な生活場所や餌を求めて集団で移動する習性があって、30℃以上の高温になると涼しい所へ移動したり、冬は寒さから逃れるために比較的温度変化の少ない地下部や心材部に移動します。
加害部は建物下部材の土台や床束、大引、根太などで多少湿った部分を加害するので腐朽と同時に起こることが多いです。ただ乾燥にはめっぽう弱いので特に水廻りの風呂場・洗面所・トイレ・台所などが被害を受けやすく、食痕は多湿で不潔です。
羽アリの特徴としては黒褐色で前胸背板だけが黄色をしており、4月下旬~5月中旬にかけて雨後の温暖な日中に群飛する傾向があります。
イエシロアリは千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域で主に生息し、建物や地中に大きな巣を作り、そこから蟻道を延ばして周辺の建物や木材を加害します。
被害速度も速く、水取り蟻道を通して水を運ぶ能力があるので、乾燥した部分でも木材を湿らしながら加害するので被害は強烈で建物全体に及び、食痕は乾燥してきれいです。
羽アリの特徴は黄褐色で6~7月頃の蒸し暑い夕方から暗くなる頃に群飛する傾向があり、電灯などによく集まります。
アメリカカンザイシロアリはアメリカ・ワシントン州からメキシコ・カリフォルニア半島にかけての太平洋沿岸地域を原産地とする乾材害虫で、日本には家具や荷材等と共に持ち込まれて、乾燥には極めて強いためピアノや家具などの木製品や建築物、または野外の枯れ枝などと加害します。
特別な巣や蟻道を加工せず、加害部を巣にして木材中に孔道をうがって小集団で生活しています。被害材の表面に丸い孔があり、そこから乾燥した砂粒状の糞をします。
羽アリは濃赤褐色で3~11月の日中に小規模で数回群飛する傾向があります。
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